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素敵に踊りたい。そして音楽の一部になってみたい。
身の程知らずでお恥ずかしい話なのですが、幼い頃からの私の真面目な想い。描いた夢のひとつでした。小学校の頃、お留守番を頼まれたある土曜日の午後、なんともなくつけたTVで映画『オズの魔法使い』が放送されていました。夢溢れるカラフルな色彩、胸がときめく素敵な歌とダンス、そしてストーリー。私はドロシーの世界観にすっかり魅了されました。魔女からもらったキラキラした靴を手にしたことから始まるお話に夢中になったのです。
幼い頃は「踊りのお稽古に通いたい」という発想がなかったので、特別なお稽古に通うことはなく、ジャンルを問わずダンスの舞台や映画をひたすら観るそんな幼少時代を過ごしていました。沢山沢山観て行く中で、気持ちを抑えきれなくなったのでしょう。ある日「私、踊ってみよう」と、クラシックバレエのお教室のドアを叩きました。25歳の時でした。クラシックバレエを選んだのは、ダンスの中で1番難しそうだったから。ただそれだけの理由だったように思います。その後発表会出演で玉砕し、バレエの奥深さに嵌っていくのですが、バレエと並行してジャズダンス、シアターダンス、加えて、日本舞踊のお稽古に通った時期もありました。兎に角踊り倒したかったのだと思います。
お稽古に通い出して10年たった頃でしょうか。お稽古だけではどうしても越えられない、自分の踊りに絶望していた時期がありました。「幼い頃から始めないと踊る資格がないのではないか」「自分の体格がどうしても許せない」「いつまで頑張ったら、人に素敵だねと言われる踊りが踊れるのだろうか」それは趣味だと言いながらも、いつ出られるかわからない暗くて長いトンネルであり大きな絶望でした。そんな時に出会ったのが、大人から始めた方にも開かれたバレエのワークショップでした。東京で開催されていたプロダンサーによるそのワークショップで、一瞬で自分の踊りが変わる体験をしました。コツは本当に些細な指摘でした。勿論日々のお稽古の積み重ねなのですが、外から見ていて同じことをやっている様で、実はコツは真逆なのだということを痛感した瞬間でもありました。絶望が希望に変わる体験をしたのです。
その後、私はといえば、結婚・出産を経て今はお稽古はお休み中なのではありますが、バレエの発表会があると飛んで伺い、客席でダンサーの皆さんと気持ちは一緒に踊る、そんな日々を過ごしています。バレエのお稽古が私に教えてくれたこと。沢山沢山あります。自分の弱いところ、醜いところ、それらを受け止めてただひたすらお稽古を淡々とこなすこと。生きていく上でも沢山のヒントと彩りをお稽古から受け取りました。今でも踊りが好き。大好きです。子育てで地元福井を離れられないことを憂うのではなく、大好きな福井で素敵な場を作ってみたいという想い。キラキラした赤い靴を履いたドロシーに出会った私の旅はまだまだはじまったばかりかもしれません。様々な出会いと出来事に感謝を込めて。作りだすワークショップの場に、素敵な自分と出会える瞬間を生み出せたら、これ以上の嬉しさはないと思っています。